田んぼの農道でノスリ発見





  





  
  晴天に恵まれた1月12日午前、矢板市の農道を車で走行していると、前方左側の道路標識の上に猛禽類が止まっているのを発見。さっそく車を止めてデジカメをもって標識に接近してシャッターを切った。が、近づきすぎて警戒されたのか、その猛禽類は幅広の翼を悠々と広げるとおもむろに低空飛行で飛び去ってしまった。いずれも写真はフォルムが分かる程度のピンボケに終わった。なにせ野生動物。シャッターチャンスを捉えるのは至難の業なのだ。

  あれはトビだったのかなぁ〜と、考えながら家に帰って図鑑の類で同定してみると、どうやらその猛禽類はトビではなくノスリであることが判明した。

  『日本の野鳥』(小学館)によると、ノスリは全長54センチメートル、胸が白っぽくて腹が焦げ茶で明瞭な帯模様のない扇形の尾、幅の広い翼が特徴。トビは全長64センチメートル、細長い翼で初列風切の大きな白斑、はち形の凹尾、胸から腹にかけてはほぼ茶褐色をしている。これらの形態的特徴を現場で目視した印象と件のピンボケ写真とですり合わせてみるとトビに比べて幅広の翼、短い扇形の尾、胸分の羽毛の色などからトビではなくノスリである事が分かった。

  また『フィールドガイド 日本の野鳥』(日本野鳥の会)によると、ノスリは冬は全国的に見られ、平地の農耕地や川原、市街地の公園等にも出現する。羽ばたきはトビより早くしなやかさが無いとされており、目撃した周囲の環境や飛び去っていく姿などを勘案すると生態的にもノスリの習性とほぼ一致した。

  ノスリを発見して写真を撮り、飛び去っていくまでの時間はほんの数分にしかすぎなかったが、ほぼ目線の高さを水平飛行で飛び去っていくその翼はトビより確かに幅広だったのがとても印象的だった。ノスリを至近距離で見たのは今回が初めてのこと。猛禽類独特の存在感とダイナミックな飛翔姿に改めて感動を覚えた。