STAP細胞問題で告発

昨年末の12月26日、理研OBの石川智久さん(60)が理研元研究員の小保方晴子さん(31)を窃盗の疑いで兵庫県警神戸水上署に刑事告発した。今年に入ってからネット情報で偶然に知ったのだが、朝日・毎日・読売・産経・東京の各紙は取り上げなかった。唯一取り上げたのは新聞では日経だけだったようだ。テレビ局は一部で取り上げていた。なぜ三大紙はこのニュースを取り上げなかったのだろうか?

告発状は、2011〜13年ごろ、小保方さんが当時理研に所属していた若山照彦さん(山梨大教授)の研究室に保管されていたES細胞を盗み出して、「STAP細胞」に偽装していた可能性が高まったとして、証拠の写真も添付したもので「日本の科学への信頼性が地に落ちる」と危惧し、告発に踏み切ったという。

理研の若山研で培養していたES細胞が消失し、同一とみられるものが小保方研で見つかったことは昨年から一部で報じられていたが、石川さんはこの件を詳細に調べ上げ、小保方さんが盗んだES細胞を「STAP細胞」と偽っていたという結論に達したようだ。このES細胞が混入された細胞サンプルを若山さんに渡して実験を行わせ、「STAP細胞」に関する論文を nature に発表したとしている。

STAP細胞」については昨年12月、理研の調査委員会が存在を否定する報告書をまとめ、ES細胞が混入した可能性が高いと結論付けている。しかし、だれが、どんな目的で行ったのかには踏み込んでいない。今回の告発で小保方さんが一連のスキャンダルの「首謀者」であるとだめ押ししたわけだ。

新聞各社が告発を取り上げなかったのは、刑事告発に対して小保方さん側が名誉棄損で反撃してくる可能性を恐れてのことなのか、告発が受理されてから紙面で大きく取り上げるつもりなのか、いずれにしろ模様眺めといったところなのだろう。

兵庫県警が告発を受理したかどうかは現時点ではわからない。が、「STAP細胞」問題は新たな局面に踏み込んだ、と思える状況に進展してほしい。

追伸:この後、理研では小保方さんの処分を懲戒免職相当と発表した。研究不正に絡んで告訴も検討しているというが…。