ボブ・ディランをゲット!

                                          お屠蘇気分も冷めやらぬ正月2日、ブックオフのウルトラセールに出かけた。2・3・4・5の5日間、本全品が20%OFFというまあそこそこの廉売セール。なにか目ぼしいものがあればと100円文庫コーナーのスチールの棚をのぞいてみると、なな何と『ボブ・ディラン』がさりげなく収まっているではないか。手にとってパラパラページをめくってみると本自体はかなりセピア色に焼けていたが、前から探していた本(たぶん絶版)だけにちょっと嬉しかった。

 サイ・リバコフ・バーバラ・リバコフ『ボブ・ディラン』(角川文庫 1974)。190ページの薄い文庫で当時の定価は220円。原題はFORK ROCK : THE BOB DYLAN STORY by Sy and Barbara Ribakove,Dell Publishing CO.,Inc (1966).

 フォークからフォーク・ロックに移行する時期の象徴的な曲とされる「ライク・ア・ローリング・ストーン」。新たな飛躍を期したこの曲がリリースされるまでの初期から中期のディランの足跡を、新聞や雑誌のメディア評を中心にまとめている。訳者の池央耿さんは「書誌的な価値ある一冊。ディランのアルバムを順に追った記述には、ディラン理解に大きな示唆を与えている」と、あとがきで述べている。梗概はこのくらいにするが、この店ではあまり目ぼしいものは無かったが他に人文系を6冊ほど買った。

 次の店は、年末に出かけた時とほとんど変わらぬ品ぞろえ。まあそんなとこだよな、としかたなく科学の棚を目で追っていくと、けっこう分厚い背表紙が目に止まった。『原子爆弾の誕生』。「原子中に閉じ込められた膨大なエネルギーの発見から日本への初の原爆投下まで、どのようにしてこの爆弾が開発されたかを、人類、政治、そして科学の細部にわたり語ってくれる力強いドキュメント」と、表紙の見返りに解説されていた。本書は1988年のピューリッツアー賞を受賞している。

 本文677ページに人名索引・参考文献・注釈63ページ。このボリュームで上下巻。残念なことに売っていたのは下巻のみ。まあ後で上巻は日本の古本屋かなんかで検索して買おうと、とにかく他の本3冊とともに買い求めた。因みに値段は定価6500円が値下げして1000円。さらにセールとあって800円だった。家へ帰ってから日本の古本屋で上巻の有無を検索したらけっこうな価格。とりあえず上巻は図書館で借りて読むことにしよう。

 この日は朝から好天に恵まれ、雪化粧された北西の山々がくっきりと浮かび上がっていた。凛とした山岳景観はこの時期ならではの美しさだ。

 めでたさも中くらいなり おらが春与謝蕪村