コハクチョウを見に行く

  



          
 

 


 

           1月下旬の雪がちらつく日の午後、琵琶池にコハクチョウを見に出かけた。日が陰り、どんよりとした肌寒い天気だったが、池にはコハクチョウのファミリー?をはじめ、オナガガモの群れ、マガモの番などが遊泳。ゆっくりと観察することができた。

  コハクチョウ(ガンカモ科)は体長120センチ。オオハクチョウより少し小さいが良く似ている。全身が白色だが、頭から首が黄褐色。若鳥は全身が灰色がかっている。嘴は先端が黒く、基部は黄色。足は黒い。冬鳥としてシベリア方面から渡来する。北アメリカで繁殖する別亜種の嘴の大部分が黒いアメリコハクチョウもまれに渡来するという。

  この日は6羽のコハクチョウを確認した。全身が灰色がかった若鳥もまじっており、つきつ離れず泳いでいる姿などから親子かもしれないと思った。陸地に上がって歩いているその足の色が真っ黒だったのを見て、うまく表現できないが、ちょっと異様な感じを受けた。

  オナガガモは数百羽のオーダーで水面をせわしなく泳いでいた。たまに逆立ちして水中の餌を取る姿も見られた。頭部がメタリックグリーンのマガモのひと番も確認できた。これから冬鳥たちの越冬は本格化する。
                   
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  県北の大田原市では、琵琶池、羽田沼、那珂川湯殿橋付近の3カ所がコハクチョウの渡来地として知られている。かつては県内唯一のハクチョウの越冬地とされていた琵琶池では近年、環境の変化などから数が減っているという。

琵琶池は大田原市の南端、さくら市との境に位置。池から約1キメートル上流の三方塚の大きな松の木の麓から湧き出る清水を水源とする自然の沼沢を、文久2(1862)年から10年余りかけて用水溜池として築堤工事された。

  地元自治会などによると、旅の貧しい琵琶法師が、三方塚の水源で旅の疲れと渇いたのどを潤し、溜池のふちで体を休めながら琵琶を奏でながら、しばし時を過ごした。その音色が池に響き渡り、村人の耳から消えなかったところから、誰言うとなく琵琶池と名付けられたという。