半蔵山・羽黒山・男抱山を歩く

 先月の13日(日)、栃木県宇都宮市の北西部に位置する半蔵山(502.1m)・羽黒山(493m)・男抱山(338m)を歩いた。半蔵、羽黒の両山の頂上はスギ・ヒノキ人工林や広葉樹が生い茂り、ほとんど展望が利かない。それに引き換え、男抱山は登山口から30分もあれば容易に頂上に立てるうえ、360度の展望がなんとも素晴らしい。動植物の写真を撮りながら新緑の里山をのんびりと歩いた。

 当日は快晴。西根町の国道293号沿いの男抱山登山口を午前9時ごろ出発した。鬱蒼としたスギ林の登山道を北西に約700m歩くと、3方向に分かれる分岐点がある。右上の大谷石の石段の上に鳥居、祠が見える。ここが男抱山コース。中央の枯れ沢の登山道が半蔵山コース。左手の登山道が男抱山の南西の富士山コース。今回は中央の登山道を選んでまず半蔵山を目指した。

 ほとんど人が通らないのか登山道は草木が生い茂り、かなり歩きずらい。約30分で富士山―男抱山の東西分岐尾根に到着。ここから北西に尾根を下りいよいよ半蔵山コースに入る。人工林の登山道付近にはアオキ・ヒサカキなどの低木やシュンランが目立った。シュンランは花芽が伸び始めてきた状態。広範囲にところどころ群生がみられた。

 頭上では姿は確認できなかったがオオルリの複雑なさえずり声が聞こえた。2Kmほど歩くと大岩山御休処(昔の大谷石の石切り場跡か?)に到着した。新里町畑中と徳次郎上町を結ぶ半蔵山南東面直下の林道を横切った、少し展望が利く半蔵山山頂の手前で樹齢100年を超えると思われるイロハモミジ?(胸高直径60?)、モミ(同65?)がそれぞれ1本ずつ周囲の落葉広葉樹林のアンブレラ・ツリーのような姿で並び立っていた。コナラ、クヌギ、リョウブなどに交じって、アスナロ、サンショウ、カシワなどもみられた。突然、頭上を2羽のトビがハシブトガラスに追われて飛び去っていった。その距離20m余り。突然のことでびっくりさせられた。

 登山口から約3時間、半蔵山山頂に到着。手前に篠井への分岐の標識。頂上には三角点が打ってあった。人工林が林立し薄暗くてほとんど展望が利かない。小休止して南西方面の羽黒山を目指す。登山道は起伏の多い痩せ尾根で南西面は落葉広葉樹林の急斜面。眼下には日光市猪倉の集落が見え隠れした。途中の岩山で昼食を取る。ヤマガラが2〜3羽喧しく鳴き交わしながら木々を渡って行った。

 羽黒山の手前の急登でタヌキのタメフンを見つける。大量の植物の種子(ギンナンか)に交じって小動物の毛や骨もみられた。羽黒山頂上には祠が祀ってあり、人工林で鬱蒼とおおわれている。ここも展望はほとんど利かない。半蔵山方面に戻りつつ東に進路を取りながら林道に出て新里方面に下る。林道にかかる赤松の木の下に大量の松ぼっくりの食べかす(通称エビフライ)が落ちていた。ニホンリスやムササビの食痕だ。付近には猛禽類がハトを襲って食べた痕もみられた。

 登りで見た鉄塔近くのカーブミラーから登ってきたルートを見つけて今度はそこを下る。男抱山―富士山の分岐まで戻り、東の男抱山山頂を目指す。男抱山は半蔵山、羽黒山に比べてすこぶる展望が良い。北北東に高原山、その手前に宇都宮アルプスの山並み。東南には筑波山加波山。南西に古賀志山。そして、北西に半蔵山、羽黒山。眼下の田園や集落風景もなかなかのものだ。登山道に着いたのは午後15時過ぎ。約6時間の山行だった。