ヒバリの巣を発見


 6月18日午前、タマネギ畑でヒバリの巣を発見した。大きさは約12センチ。周囲は粗い植物繊維で丸く編み上げ、中央にいくほど細い根などの繊維を使っていて、とても繊細な感じだ。焦げ茶斑の1.5センチほどの卵が複数産み落とされていた。上空ではオスの親鳥が盛んにテリトリーソングを奏でて牽制。親鳥が巣を放棄しないように早々に写真を撮り退散した。

  燕雀目ヒバリ科ヒバリ属のヒバリ(Alauda arvensis)は、アフリカを中心に世界的に分布(約75種、日本5種)し、日本では1種が繁殖している。全長17センチ。後頭に短い冠羽がある。体は淡黄褐色(雌雄同色)。九州以北で繁殖し、平地から山地の草原、畑、川原などで地上生活を主として昆虫や草の種子などを食べる。秋冬には小群をつくり北方で繁殖するものは暖地へ渡る(高野伸二『フィールドガイド日本の野鳥』)。

  ヒバリの巣は栃木県南東部の八溝山地に隣接する農業地帯で見つけたもので、田んぼと畑がモザイク状に広がる広大な農地の一角だった。都会でも麦畑や原っぱが残っている所には(ヒバリは)たくさんいたが、そのような場所が少なくなった現在では、完全に川原や郊外の草原の小鳥となってしまった」(竹下信雄『FIELD GUIDE 1 日本の野鳥』)としているが、ここは環境がいいのか、まだまだ畑地をニッチとしたヒバリは健在である。

  大空を見上げると「ピーチク ピーチク ピーチュクチュク チーチーチー ピールル ピールル ピルピルピールル チーチーチー…」と複雑にさえずるオスの姿がみられた。仲間に対するテリトリーソング(縄張り宣言)。聞き做しでは「日一分(ヒイケブ)、日一分(ヒイチブ)…、月二朱(ツキニシュー)」と聞こえるらしい。通常、3〜5個産卵し、抱卵日数は12〜13日。ヒナは孵化後10日ぐらいで巣立つという。この巣には4個の卵が産み落とされていた。

  ヒバリ(雲雀)の語源は「日晴 晴れたる時、高くのぼりなく」(貝原益軒『日本釈名』、新井白石『東雅』、大言海)とされるが、幸田露伴(『音源論』)や中西悟堂(『野鳥記』)は鳴き声からではないか、としている。

  告天子・叫天子・田ヒバリ・畦ヒバリ・川ヒバリ・溝ヒバリ・しばり・すばり・ひわり・へばり・いちこく・いちろく・いちべえ・のひばり・ひばる・もどくり・むぎうらし・りゆーひばる・ちちぼろ・ひりり・かやどり・じつち・ひばい・げえちやー…etc。異名、俗名、方言などは多く、古来よりヒトとの交流が偲ばれる。江戸時代ごろにはヒバリを飼育して「揚げヒバリ」「台切り」など、芸を仕込んで鳴き声を楽しんでいた。

  永き日を囀り足らぬ雲雀かな 芭蕉