井戸湿原にシカの足跡

                







 


 
 
 7月14日、連れ合いと鹿沼市上粕尾の井戸湿原に出かけた。前日光ハイランドロッジまで車で行き、そこから歩いて象の鼻展望台の手前の標識を右に折れ、井戸湿原に向かった。湿原の周囲はシカが入り込まないようにフェンスが張り巡らされていて入り口は開け閉めするようになっている。木道をゆっくり歩きながら風景や植物の写真を撮っていると、湿原内にシカの足跡を発見した。どうやら、シカは防護柵をかいくぐって湿原内に入り込んでいるらしい。シカによる湿原植物の食害が懸念される。

 井戸湿原(約5ヘクタール)の周囲には湿原内にシカが入り込まないようにと柵が張り巡らされているが、湿原の中にシカの足跡が複数カ所みられた。足跡は9センチ前後。二股に分かれたひずめの跡がくっきりと地表に記されていた。どうやらこの防護柵は完全なものではないようだ。コバイケイソウモウセンゴケワタスゲサワギキョウなど、多くの貴重な植物をシカの食害から守ろうとの「防護柵」なのだが、あまり機能していないようだ。

 尾瀬ではシカによる高山植物の食害が問題になっているが、ここ「小尾瀬」でもシカによる食害が問題になりつつあるようだ。近年、井戸湿原では徐々に乾燥化が進み、湿原としての機能が失われつつあるとされている。こうした自然環境の変化も踏まえ、地元の行政は実態を把握して何らかの対策を早急に取るべきだろう。

 一方、古峰ケ原神社から前日光牧場までの県道58号沿いには「熊注意」の立て看板が複数みられ、近年ではクマとの遭遇も警戒しなければならない状況がある。ここでもヒトと野生動物との共存が問題化しつつある。