日光植物園を散策

 GW後半の5月3日、連れ合いと日光植物園に出かけた。ツツジやサクラをはじめ、春の息吹を伝える数々の山野草が広い園内のそこかしこに可憐な彩りを添えていた。天候は快晴だったが、標高がやや高いせいか日が陰ったり風が吹いたりすると少々肌寒かった。それでも、野鳥のさえずりをBGMにフィトンチッドの漂う爽やかな森林をゆっくりと散策し、身も心もリフレッシュした。

 日光市花石町1842の日光植物園は、正式には東京大学大学院理学系研究科附属植物園日光分園という。東京都文京区の小石川植物園の分園で、1902年に開設された。10.4ヘクタールの敷地に高山植物や寒冷地植物など約2,000種が植栽されている(同植物園パンフレット)。植物生態学の研究の場でもある。

 この日は連休後半の初日とあって交通渋滞を予測して出かけたが、午前9時半ごろ日光市内に差しかかると目立った渋滞もなく、10時ちょっと前に植物園に到着した。正門わきの受付に入場料(大人330円)を支払って駐車場に車を停めた。60台の駐車スペースというが、2台ほどが停まっているだけ。ここは観光客の数も少ない穴場と聞いていたが、なるほどその通りだと思った。植物好きの中高年らのお薦めスポットだ。

 遊歩道沿いには多くの群落やロックガーデンなどが設けてあり、アズマシャクナゲ・ヤマブキ・ゼンマイ・フキ・ミズバショウタラノキなどの植物をデジカメに収めることができた(写真)。

 サクラの仲間(バラ科、スモモ亜科)は東アジアから中央アジアにかけての北半球温帯や熱帯に200種以上が分布。このうち日本にはモモ属・アンズ属・スモモ属を除く、バクチノキ属(2種)、ウワミズザクラ属(4種)、サクラ属(10種:カンヒザクラを含む)の約16種が分布している(同植物園HP)。

 同植物園では暖地性のカンヒザクラ・バクチノキ・リンボクを除くエドヒガン・オオシマザクラソメイヨシノ・チョウジザクラ・キンキマメザクラ・オオヤマザクラ・カスミザクラなど13種の自生種が植栽されており(同植物園HP)、同植物園の目玉となっている。木本ではツツジの仲間も数多く植栽されており、針葉樹・広葉樹などの樹木に山野草類を含めると正確に種数を数えるえることはとても不可能に思える。それほどここは「多様性」に富んでいる。

 針葉樹や落葉樹の高みから響き渡るシジュウカラ・ヒガラ・ウグイス・オオルリなどの野鳥のさえずりが聞こえた。目視でキビタキを確認できてとてもラッキーだった。湿地の周辺では地表20センチぐらいの高さで野草が切り取られた跡がみられた。ニホンジカの仕業だろう。2センチぐらいのやや楕円形のフンが残されていた。園内では運が良ければ野生のヘビ、シカ、サルが出没するらしい(同植物園パンフレット)。

 厳冬の季節からようやく春を迎えたが、日光は早春のなごりがまだ残っているような風情。満開の桜と葉桜が微妙に混在している端境期風の景観といった感じだった。コンディションさえよければ、お弁当を持ってデジカメを片手に半日はゆっくりと楽しめる自然散策路である。開園は4月15日から11月30日まで。月曜日休園。