大古本まつり

 関東では最大級の古書店「つちうら古書倶楽部」のオープンを記念する大古本まつりに出かけた。茨城県土浦駅西口から1分のパティオビル1Fのもとパチンコ店の約250坪の広いスペースに、地元をはじめ福島・栃木・埼玉・東京など20の古書店が出店、文学・歴史・地方史・絶版漫画・全集など30万冊が展示即売され、多くの古本ファンでにぎわっていた。今後の展開に期待したい。

 例によってDVDオタクの相棒と車で出かけた。途中、今が盛りの桜並木が続き、とてもきれいだった。土浦駅西口から右手りそな銀行を右折するとすぐにパティオビルが見つかったが、専用駐車場が無いのが痛かった。次回は付近の駐車場を調べてからゆっくり本を見られるようにしたいと思った。

 店内に入るとさすがもとパチンコ店。広い広い!! 10時半ごろだったが、すでに老若男女で押すな押すなの大盛況。各店ともちょっとランダムな陳列なのでどこから攻めて行ったら良いのか最初のうちはかなりとまどった。が、棚をみていくと、やはり文学・歴史関係の本が多い。なかでも仏教関係の古書が各店舗で目についた。お目当ての自然科学関係の本は少ない。いや、ほとんど無い状態。それでも新古書店に比べれば格段にバラエティーに富んだ品ぞろえ。けっこう目の保養になった。古本屋はおじさんのワンダーランドである。

 一方、DVDオタクの相棒は「難しい本が多い」と30分ぐらいでギブアップ。そんなわけで人文書を少々買って、1時間余りで引き揚げた。今度は一人で来て、隅から隅までゆっくり見ることにしょう。きっと掘り出し物があるに違いない。久々に古本屋の奥深さを垣間見たような気がした。

 次は北関東最大級の新古書店へ向かう。その前に例によって回転ずし店に寄り腹ごしらえをした。昨今の回転ずしは本当にシャリが少ない。小さなシャリの上に載ったまぐろの赤身が両脇に垂れ下がっているのはなんとも不格好な形態に思える。メニューの三分の一がマヨネーズやドレッシングがかかった新ネタ。子どもたちはこうした寿司の味がいわゆる「寿司」として記憶されていくのだろうか。ハンバーガー・牛丼・カレーライス・ラーメン…etc。良い悪いは難しい問題だが、日本の伝統食「寿司」も今やジャンクフード化しているのかもしれない。ファストフード店での食事は自己家畜化を招いているといわれているが、いかがなものか…。

 さて、新古書店に到着した。ここは日用品や衣服、電化製品、楽器なども商っている大型複合店。休日とあってかなりの人出でにぎわっていた。洋書の棚を覗くと、インドネシアカリマンタンに関する地理や歴史、自然に関する本が5冊並んでいた。某国立大学のそばなので研究者が異動に伴い処分した本の一部なのかもしれない。そんな1冊にOdoardo Beccari, Wandering in the great forests of borneo. Oxford UPという本が目に留まった。オランウータンの生態についての章があったので何かの役に立つかもしれないと思い購入した。200円。Oxford UPの本には弱いのだ。その後もいくつかの新古書店に寄り文庫や新書を数冊買い求めた。この頃はハンディな文庫や新書を主に買っている。

 つちうら古書倶楽部は、全国紙や地元の情報紙などに取り上げられて話題性を提供したが、コンスタントに継続していけるかどうかは地域のキャパシティなどから未知数だろう。出店した20余りの古書店主が知恵を出し合い、新古書店を横目で見ながら、どう維持・展開していくのかが注目される。近くまた伺います。