古峰原高原〜横根山ハイク

 









 


 10月21日、鹿沼市入粟野の古峰原高原〜横根山にグループでハイキングに出かけた。爽やかな秋晴れの一日、落ち葉の絨毯を踏みしめながら、黄金色や深紅に色づき始めた山々のパノラマを満喫した。

 コースは、鹿沼市内方面から県道53号(通称・古峰原街道)を古峯神社方面へ向かい、神社を越えた古峰原峠手前の駐車場を起点に森林帯を南下、三枚石―ツツジ平―方塞山(1388m)―横根山(1372.8m)―井戸湿原―象の鼻―前日光ハイランドロッジ―方塞山―ツツジ平―三枚石―起点(駐車場)の歩行時間5時間半のビギナー向けのコース。アップダウンの急こう配はそれほど無く比較的歩きやすい。

 午前7時、宇都宮南部の集合場所の運動公園を出発(参加者23人)。鹿沼市内―県道53号―古峯神社―古峰原高原Ⓟへ。午前8時すぎ、準備体操を行って起点を出発した。 
 
 栃木県の西部に位置する鹿沼市入粟野の古峰高原は、北に日光連山を仰ぐ前日光県立自然公園内の核心部。県北西部の日本海型気候域の植生範囲に位置し、山地帯のブナやミズナラの林からコメツガ、シラビソ、オオシラビソ、亜高山帯針葉樹の林へと広がりをみせ、陽樹林としてのシラカンバ、ダケカンバの自然林もみられる(レッドデータブックとちぎ)。 

 こうした予備知識を基にしてハイキングコースを歩く。レンゲツツジヤマツツジヤシオツツジなどの落葉性の低木をはじめ、リョウブ、ナラ、アカマツ、ツガ、クリ、ヤマザクラ、シラカンバ、カラマツなどが主な植生で、太平洋型気候域のシイ・カシ林とは異なった植生を示していたことが実感できた。フィールドワークならではの収穫である。コース沿いにカラマツの植林地、方塞山で真っ赤なマユミの実、鮮やかな深紅に色づいたヤマウルシや濃い青色のリンドウなども見ることができた。 
 
 この辺りはニホンジカの分布が多いようで、選択的に樹枝剥ぎされたリョウブの跡が随所にみられた。井戸湿原の周辺にはシカ除けの金網の柵が張り巡らされていて、コバイケイソウモウセンゴケワタスゲサワギキョウなどの湿性植物をシカの食害から守る手立てが講じられていた。同所ではツキノワグマの樹皮剥ぎや爪痕もみられた。

 井戸湿原では昭和42〜43年頃、「外来種」のミズバショウが移植されはじめ、平成15〜18年にかけて除去作業が行われていたという。井戸湿原は「小さな尾瀬」とも呼ばれており、善意で移植されたのかもしれないが、生物多様性保全の見地から湿地生態系の撹乱につながる恐れのある行為は慎むべきである。

 山行のハイライトは象の鼻からの展望。南西に富士山(よほどの運とツキがないとおいそれとは遠望できないらしい)、西に赤城山、西北に袈裟丸山、皇海山、北に男体山、女峰山、赤薙山、北東に高原山系。色づき始めた落葉広葉樹の先には雄大な景観の大パノラマが展開していた。終始、北風がやや強かったが、天候に恵まれ、爽やかな汗をかかせてもらった。春から夏にかけてのツツジや湿性植物の花の時期にもまた訪れてみたい。