アユ釣り最盛期へ

 那珂川のアユ釣りが最盛期を迎えつつある。栃木県大田原市黒羽の那珂橋を挟んだ上下流では、早朝から連日多くの釣り人が訪れ、思い思いに清流に竿を投入している。

 今年は、昨春の東電福島第一原発の過酷事故で、環境中に放出された放射性物質の影響でアユの解禁が危ぶまれたが、5、6月の採捕調査の結果、アユの体内の放射性Csの値が規制値(100Bq)を下回っていたために例年通りに6月1日に解禁された。

 解禁日には、待ちかねた太公望らが大勢詰めかけたが、早朝の雨などの影響で水温が低くアユの活性はイマイチ。それでも、中には15〜16センチの型を10尾ぐらい上げる釣り人もいたという。

 那珂川北部漁業協同組合によると、今年度のアユの放流は那珂橋〜黒羽橋133,200尾、湯殿大橋〜那珂橋125,900尾など、流域6ヵ所で計442900尾の放流が予定されている。天然アユの遡上も始まっているという。

 一般にアユは、秋に河川の中流域で産卵し、卵から孵化した仔魚は河川を流化して海域に入る。秋から翌春の低水温期に海域で生活して春に稚魚となり河川を遡上していく。春から秋にかけては中流域から上流域で生活し、生後1年で成熟・産卵して死亡する。こうした生活史を持つアユは両側回遊型の一年魚と呼ばれる。

 海産・河川産と人工産とのアユは形態的に見分けることができる。人工産のアユは比較的頭が大きく、胴が細くて丸く、背鰭と油鰭との間の背が黄色から褐色で、鱗が粗く大きさが一定していない。海産・河川産のアユは人工産に比べて頭が小さく胴が比較的細く、背鰭と脂鰭の間が黒いのが特徴とされている。

 那珂川は、栃木県那須町那須岳山麓を源として北部の東辺部を南下、同県茂木町で東に向かい茨城県を南東に流れて、ひたちなか市大洗町の境界部で太平洋に注ぐ延長150キロの一級水系那珂川の本流。同漁協によると、平成14年度に(財)日本釣振興会の「天然アユがのぼる100名川」に選定された。また、那珂川は昔からヤマメの降海型・サクラマスが遡上することでも知られている。

 北関東屈指の清流・那珂川は昔から天然アユのメッカ(同漁協)。今夏も大量の釣果が期待できそうだ。